薬剤師になったの?薬学部を卒業した友達の話

高校の同期が薬学部に進学しました。
クラスも部活も同じ、毎日一緒に登校する親しい友達でした。
彼はクラスでトップレベルの秀才で、追試常連の私とは対照的でした。
彼は岐阜に、私は横浜に大学進学したので徐々に疎遠になりました。
それでも大学を卒業するまでは、3か月に一回くらいのペースでLINEして日々の暮らしを報告しあっていました。
文系の私にとって、理系の彼の「実験が大変だ」とか「レポートを徹夜で書かなければいけない」という悩みはピンと来ませんでした。
【薬学】と考えると、薬局の薬剤師さんしか思い浮かばず、私と薬剤師さんとのやりとりといえば、薬を処方してもらうときに飲み方を聞くくらいでした。
それも診察の際にお医者さんに説明を受けることの反復で、体調が悪くてすぐにでも家に帰って寝たい時に、数十分前にすでに聞いている話をもう一度薬剤師から聞くのは煩わしくて辛いなあと思っていました。
涼しい顔をして仕事している薬剤師さんも、学生時代は彼のように大変だったのかな、と私は薬剤師さんの大変さも知らずに思っていました。
薬剤師の仕事が実際にどのようなものなのか気になって調べたこともあります。
私が調べたサイトでは処方箋内容のチェックの仕事についても書かれていました。
例えば薬が頓服で処方された時は何回までなら保険適用できるのか、そういった内容です。
頓服 何回まで」などで検索すると分かるとおり、どうやらこれらは明確な基準もないようで、処方全体の日数や過去の例、また場合によっては都道府県によってもレセプトがとおるかどうか変わってくるようです。
このような細かい知識や経験、さらに洞察力などが要求される薬剤師はやはり大変だなと思いました。
私が大学を卒業して働き始めても、2年間彼は学生でした。
大学院に進学したのか、それとも最初から6年制の学部なのか、そんなこともわからない私でした。
新卒1年目の年末、部活の同窓会にて、日々営業ノルマに追われる私の生活を武勇伝風に語りました。
彼は大変そうだな、と静かに聞いてくれました。
今思えば、入社1年目の新人のノルマなど大したことなく、それを大げさに話して恥ずかしい思いです。
もしかしたら彼のほうが日々勉強に追われ、大変だったのかもな、と思います。
2年後、彼も就職しました。
大手医薬品メーカーに就職したとのことでした。
これも部活の同窓会で話しました。
この時はもうコロナ禍でそれぞれの家からのオンライン同窓会でした。
薬剤師になったんじゃないの?そう質問すると、研究職で治験が終わった薬の大量生産する部署にいる、と回答されました。
もう少し詳しく仕事内容を話してくれましたが、全くもってちんぷんかんぷんでした。
他にも理系の同期がいて、化粧品メーカーでファンデーションの研究をしてる、とか音響メーカーでイヤホンの内部構造を研究してる、とか仕事の内容を聞いたけれど、どれもピンとこない。
唯一よくわかったのは文系卒のカーディーラーの話でした。
でも研究職に就いている友達は全員、社会に貢献している風で頼もしく、うらやましくありました。
そりゃ、大学の時に私が毎日飲み会してた時も、レポート書いてたんだから、報われてるわけだよなあと思いました。
それから今からでも何か資格をとって理系の皆さんに近づこうと机に向かうようになりました。